うのすけ 日本乃御酒アレコレ
10月 うのすけてしごと【十三年目五十八日】

うのすけてしごと【十三年目五十八日】

【地味、だけど滋味。ジワっと美味しいもの】のおはなし

先日の、昆布を運んでくださった方々の宴で出したひと品

お手伝いに行った、三芳の農家さんで分けて頂いた
小粒のメイクイーン

皮ごと召し上がって頂くために
先ずは油で揚げ焼き

「地元の知人から貰った」という不揃いな昆布でとったお出汁に
Ark館ヶ森牧場の豚つくった
シェンケルシンケン(赤身のベーコンのようなお肉)と
揚げたメイクイーンを入れてコトコト

味付けは、ベーコンと昆布から頂いたものだけ
出たものをゆっくり、お芋含ませていきます

お芋はお芋で召し上がって頂きます

コトコト煮てもまだまだしっかりしている昆布を角切りに
ベーコンは細かく千切りにして
少し残したお出汁で煮詰めていきます

所謂「つくだに」の手法

美味しいところを全部、素材に戻します
ツマミ食いしましたがコレが
見た目地味なのに、箸が止まらない

常々、昆布で豚肉煮ると
お肉も昆布も美味しいなぁ。って思っていましたが
加工肉になってより、旨味が増えたのでしょうか

お出汁を含んだお芋の美味しさは、
お芋とお出汁の美味しさ

お出汁の素材に、素材から出た味わいと
お芋さんと交わった美味しさを

素材は同じでも
比率が変わると、全く違う美味しさが味わえます

見た目は【地味】ですが。
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こういうご時世の前は、素材もふんだんに常備していて
突飛だったり、華やかな料理もつくっていたのですが

「待ち稼業」に付き合わせて廃棄させた素材たちをいっぱいつくってしまい
予約を頂いた時にはリクエストにあわせて素材を増やしますが
急なご連絡を頂くと、常備出来ているものでアレコレ誂える事になり
最近は見た目が地味な料理が増えました

ですが。

おかげさまで

天然の昆布や、近海一本釣りの鰹の本枯節
確かな野菜、保存食に加工した肉
何を質問しても答えられる生産者さんの卵
生活排水が一切入らない土地でつくったお米
近所に美味しいお豆腐屋さんに海苔屋さん、など

ホッとする美味しいものは揃っています

寧ろ。

それぞれちゃんと。しているので
料理人としての修行経験のない自分では
いぢくりすぎると彼等の良さを台無しにしかねないな、と

故に
彼等の声を聴いて
出来るだけシンプルに
関わった食材たちがそれぞれ活きますように

少しばかりそのお手伝いをさせて頂く感じで
アナタのお皿を誂えています