うのすけ 日本乃御酒アレコレ
4月 小さくても、生き様が詰まっています。

小さくても、生き様が詰まっています。

「千葉天然真鯛のFromage de tête」

天然真鯛のカシラをコトコト炊いて、そのゼラチン質だけで固めました

肉食文化のヨーロッパで、豚のアタマを炊いて部位を細かく切って
冷やし固めた「Fromage de tête」がヒントです

「Fromage de tête」の由来は、謝肉祭に起源があります

これから冬を迎え、生鮮食品を確保できなくなり
家族、一族が春の芽吹きまで生きながらえるよう
貴重な家畜である豚を、隅の隅まで無駄にせず食べられるようにつくったのが
「Fromage de tête」頭のチーズ、豚頭の煮こごり、です

皮と肉、だけではなく、平素から食べたり呼吸したり
顔の筋肉はずっと動きっぱなしです
なので、いろんな筋肉の動きがある、とすると
その数だけ肉の味わいも違うもの

おいしいのがいっぱい詰まってる
カシラっていうソコを、ほぐしてほぐして固めたのが、コレ
皮も肉も、其処も此処も、全部美味しい
美味しいとこ全部、余すとこなく詰め込みました

真昆布を添えに、コトコトことこと
真鯛の出汁だけだと強かったので
「海の記憶」をそこはかとなく、浅蜊の出汁に託しました

潮の塊の力強さに「隙間風」を差し込んでくださるのは
八王子・堀之内、天然記念物の東京オオサンショウウオが住むという
湧き水で育った芹、さわやかな「呼吸」を呼んでくれます

食べてみてビックリしたのが
「海老、カニの味がする」こと

真鯛の鮮やかなあの赤い色は、海老やカニを食べているから
エサの味わいがすることは、至極真っ当なこと
天然の真鯛であったがこそ
彼の生命の生き様が、今、小さなお皿になっても伝わってきます
生き様が詰まった、ひと皿です

「どう生きてきたのか」

真鯛の生き様に敬意を表して、余計なことは出来ませんでした
そんな真鯛の生き様、是非味わいに来てください


わたしも出来れば、斯く在りたし